FRK会報
会報No.87(2007年SEPTEMBER)

平成20年度
税制改正ならびに「フラット35」に関する要望

当協会は、来年度の税制ならびに「フラット35」についての要望をとりまとめ、国土交通省ほか関係先へ提出しました。要旨は以下の通りです。
I.平成20年度税制改正に関する要望
来年度の税制改正に当たっては、住宅関連では住宅取得の促進ならびに流通市場の活性化・安定化を図るための税制を継続するとともに、自由民主党の「200年住宅ビジョン」に掲げられているように耐久性・耐震性に優れた既存住宅ストックが世代を超えて循環利用されるための税制を創設することが必要である。また、消費税の議論においては、住宅が国民生活の基盤であることに配慮した措置がとられるべきである。不動産の流動化・有効利用促進を図る税制についても継続性を維持し、不動産市場の更なる活性化を推進していくことが必要であり、来年度税制改正にあたり、以下の要望を行う。

1.住宅取得・買換え促進のための住宅税制

(1)<重点項目>登録免許税、不動産取得税の特例措置の延長

現行の流通税に係る特例措置が打ち切りとなった場合、住宅取得コストが上昇し、住宅購入マインドが減退することが懸念される。それにより不動産流通市場の活性化を阻害し、ひいては景気に悪影響を及ぼしかねない。ついては、次の流通税の特例措置を延長する。

1)登録免許税の特例措置の延長

  • 土地に関する売買による所有権移転登記の登録免許税の税率特例(本則2%→1%)の適用期限(平成20年3月末)を延長する。

2)不動産取得税の特例措置の延長

ア. 新築住宅を宅建業者が取得したものとみなす日を新築の日から1年を経過した日とする特例措置(本則6か月)の適用期限(平成20年3月末)を延長する。
イ. 住宅用土地の減額措置について、土地の取得から住宅の新築までの期間を3年、やむをえない事情があるときは4年とする特例措置(本則2年)の適用期限(平成20年3月末)を延長する。

(2)新築住宅に係る固定資産税の税額2分の1相当額減額の特例措置の拡充・延長

住宅の質の向上を図るとともに住宅取得者の初期負担の軽減を図るため、新築住宅の固定資産税軽減特例に関し、120m2までの部分としている制限を撤廃したうえで、適用期限(平成20年3月末)を延長する。

(3)相続時精算課税制度の住宅取得等資金贈与における特例措置の延長

親から子への早期の財産移転をより積極的に進め、若中年層における住宅取得を促進するため、相続税精算課税制度の住宅取得資金贈与における特例(贈与者の年齢要件の緩和及び1,000万円特別枠)の適用期限(平成19年12月末)を延長する。

(4)宅地建物取引業者による買取りリフォーム販売における消費税の軽減措置の創設

少子高齢化などの社会現象や、産業廃棄物・CO2の排出抑制の観点から、リノベーション、コンバージョン等による既存住宅ストックの活用や住宅寿命の長期化を積極的に図る必要がある。ついては、その普及促進のため、宅地建物取引業者による買取りリフォーム販売について消費税の軽減措置を講ずるべきである。

2.不動産の流動化・有効利用促進のための不動産税制

(1)Jリート及びSPC等が取得する不動産に係る登録免許税の税率特例

不動産証券化市場のさらなる活性化を推進するため、Jリート及びSPC等が取得する不動産に係る登録免許税の税率特例(本則2%→0.8%)の適用期限(平成20年3月末)を延長する。

(2)非住宅家屋に係る不動産取得税の特例措置の延長

住宅用を除く家屋の不動産取得税の税率特例(本則4%→3.5%)も平成20年3月末で期限切れを迎えるが、本則税率への増税は不動産流通の阻害要因になるので、これを延長する。

(3)事業用建築物に係る耐震改修促進税制

既存事業用建築物の耐震性を確保し、良質な建築物ストックの形成を進めるため、耐震改修工事に係る特例措置(10%の特別償却)の適用期限(平成20年3月末)を延長する。

3.住宅に係る消費税のあり方に関する検討および要望

住宅に係る消費税については、現在、特例措置はなく、一方で取得時において登録免許税、不動産取得税等不動産流通税との重複課税の状況にある。消費税の税率等の議論においては、住宅が国民生活の基盤であることを考慮し、消費税はもとより不動産流通税、住宅ローン減税制度等を含め住宅税制全体を俯瞰した検討を行い、住宅に係る税が現状より負担増とならないよう所要の措置を講ずるべきである。

II.平成20年度「フラット35」に関する要望
住宅金融支援機構は、長期・固定・低利の住宅取得資金を安定的に供給することにより、良質なストックの形成と住宅生活の向上に大きな役割を果たしてきている。その趣旨を踏まえた「フラット35」は、新築物件を主とし取扱いが増加しているが、消費者の多様なニーズに応えるため、近年の良質な住宅ストックの蓄積により一層の拡大が見込まれる既存住宅の取扱いについて更なる改善が望まれる。平成20年度については、以下の通り、既存住宅を中心に要望を行う。

1.「フラット35」全般について

(1)「申込み時」金利適用へ制度を変更、またはそれに代わる制度を検討する。
(2)申込みから融資実行までの期間の短縮を図る。
(3)住宅の建設費、購入価額の上限(1億円)の撤廃、または引き上げる。

2.既存住宅への適用条件について

(1)技術基準を消費者に分かりやすい内容とし、より簡略化をして適用可能性を考慮した改善を行う。
(2)既存住宅融資対象の拡大および建物検査制度の簡素化を行う。

  • 「中古マンションらくらく35」の築後年数の延長。
  • 適合証明を受けた住戸の存するマンションについて他住戸の省略。
  • 公庫融資を受けた戸建における検査済証、登記簿謄本などを適合証明書の代わりとすること。

3.優良住宅取得支援制度について

(1)戸数を拡大し、申込時期を通年とする。
(2)融資基準を緩和する。
(3)技術基準の「いずれか1つ以上」を継続する。

  • 少なくとも、同一新築マンションの場合、申込時期が当年度と来年度に跨いだとしても「いずれか1つ以上」を継続すること。

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