FRK会報
会報No.91(2008年MAY)

国土交通省が平成20年地価公示を発表

国土交通省土地・水資源局調査課より発表された「平成20年地価公示に基づく地価動向」(総括)を掲載します。
平成20年1月1日時点の地価公示によると、平成19年1月以降の1年間の地価動向は、全国平均で見ると、住宅地及び商業地ともに2年連続で上昇となった。三大都市圏においては、平均で上昇幅が拡大したものの都心部を中心に上昇幅が縮小した地点が現れた。また、地方圏においては、下落幅は縮小したものの依然として下落地点が大半を占めた。
  1. 三大都市圏・地方ブロック中心都市においては、景気回復が続く中、マンション・オフィス需要等を背景として、都心部における地価上昇が周辺地域へ広がりを見せたものの昨年後半にはこれらの上昇基調はそれぞれに鈍化した。

  2. その他の地方圏においては、地方中心都市の市街地整備や交通基盤整備等による利便性・収益性の向上等が見られた地区については上昇地点が増加するとともに、下落地点についても、その半数以上で下落幅が縮小した。しかしながら、地方圏全体では依然として下落地点が大半である。

このように、今回の地価公示に示される地価動向は、総じて見れば、地価の持ち直し傾向が引き続き見られるものの昨年後半には三大都市圏等を中心に上昇基調の鈍化がそれぞれに見られた。

なお、地価動向の先行きについては、景気・金利動向、需給バランスの動向、内外投資家の動向の影響などに留意すべきである。

平成20年地価公示についての当協会のコメント
社団法人 不動産流通経営協会
理事長 岩崎 芳史
今回の地価公示においては、全国平均で住宅地、商業地ともに2年連続の上昇となったが、着目すべき地価動向としては、地価上昇の広がりが利便性や収益性の高い地域を中心として見られ、その他の地域との差異が引き続き鮮明となってきていること、前回高い上昇率であった都心部においては、前回の上昇率を下回る地域もみられ、特に、昨年後半においては、上昇基調が鈍化していることがあげられる。また地方圏においては市街地整備や観光需要の増大等により収益性が向上した一部の地域を除き、依然として下落基調が続いていることである。

大都市圏における基調の変化は、都心部における急激な地価の上昇に需要が対応できず、新たな価格の調整局面に入っていることも考えられるが、サブプライム問題に端を発した世界規模の金融資本市場の変化、米国経済の減速見通しによる、景気の先行きに対する懸念や、個人所得の伸び悩みによる影響も出始めているものと考えられ、これまで大都市圏を中心に堅調さを維持してきた不動産流通市場においても、成約件数の減少、販売在庫の増加等の変化が鮮明となってきており、予断を許さない局面となっている。

今後、全国レベルでのバランスの取れた地価の回復のためには、経済の不透明感を払拭するとともに、地方経済の活性化を進め国民生活の基盤である土地・住宅に関する多様なニーズに応える政策を推進し、不動産流通市場のさらなる活性化を図ることが不可欠である。現在、長期優良住宅普及促進法案が提出されるなど、住宅履歴書の整備を始め、良質なストックの拡大や流通についての課題が幅広く検討されているが、これらとあわせて、不動産流通を促進する税制の継続実施および住宅投資等に対する幅広い政策面での支援策の強化がさらに求められる。


[会報目次]
[平成20年度事業計画][20年地価公示][推計調査報告][流通促進研究会 中間報告書][英国調査報告]
[連絡協議会 申し合わせ][特定住宅瑕疵担保責任][FRK標準書式改訂][2008ハンドブック]
[不動産取引実務研修][役員名簿]
[会員の皆様へのお願い][レインズ活用状況][FRKNOW][INFORMATION]