住宅履歴情報システム整備に向けての提言・要望(要旨)
1 住宅履歴情報システムについての基本的な考え方
すでに市場にある既存住宅についても、一定の基準を満たす住宅については「長期優良住宅認定物件」と同様のインセンティブを適用するなどの配慮が必要である。
2 査定(意見)価格への反映について
履歴内容のうちメンテナンスやリフォームの実績については、その内容は千差万別であるため必ずしもすべて査定価格へ反映することはできない。しかし、反映することが相応な項目については、土地建物総額としての市場性にも照らしたうえで対応すべきものと考える。
住宅履歴を査定価格へ具体的にどのように反映させるかということも含め、足並みをそろえて査定手法を均一化させるためには、業者にとっても顧客にとっても簡便でわかりやすい内容・手順にすることが肝要である。そのため、価格査定の標準として推奨されている不動産流通近代化センターの価格査定マニュアルにおける査定項目の見直しや再整理等の方策の検討も必要である。
3 既存住宅性能評価と民間建物検査の課題とその活用促進に向けて
今後の既存住宅取引においては、取引の透明性を高めるためにも建物検査が普及していくことが望ましい。実際の取引においては、事前に建物検査を実施し、建物の状態を明らかにしたうえで売り出すという流れがよりスムーズであり、そのような仕組みを普及させていくことを目指したい。
そのため、例えば、当協会の標準売買契約書において瑕疵担保責任の対象としている主要4項目(雨漏り・シロアリの害・建物主要構造部の木部の腐食・給排水管の故障)に限定した目視による簡易検査を用意したうえで、事前検査を実施した場合には、売主の瑕疵担保責任を検査会社が代替して履行することを売主へのインセンティブとするような方法が考えられる。
ただし、これには民間検査会社の協力・連携が不可欠である。当業界としてもこれらの課題を解決し、建物検査が既存住宅流通の流れに組み込まれるための環境づくりに努めていく。併せて、検査費用の補助や検査費用の減税措置など、検査利用者におけるコスト負担を軽減するための国および地方公共団体における建物検査の普及促進に向けた強力な支援を期待したい。
4 既存住宅取引における住宅履歴情報の買主への承継について
住宅履歴情報の買主への引き継ぎについては、「『物件状況等報告書』への記載、買主への情報の継承」という流れの延長として捉え、仲介業者は、これらを正確かつ漏れなく記載していただくよう売主に促すことを、これまで同様に徹底することで対処すべきと考える。
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