<報告書のポイント>
宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明は、近年説明項目が増加する傾向にあり、消費者にとって何が重要であるかがわかりにくくなっているとの指摘を踏まえ、消費者が取引を行うに当たって必要とする情報を消費者が理解できる形で適切に提供する方策を検討することが重要であるとの問題意識に立ち、重要事項説明の合理化に向けた見直しについて、以下の検討を行った。
1. 課題の抽出
- 重要事項説明は、実態として契約締結直前になされることが多いが、一方で、消費者の大多数は契約締結の一定期間前に説明を受けることが望ましいと認識している。具体的には、消費者としては、契約締結直前に書面を交付されて説明を受けるのでは、契約締結までに検討する時間的余裕が十分に確保できないとの指摘がある。
- 全体の説明項目数が増加傾向にあるため、説明に長時間を要する場合もあり、消費者にとっては一度にすべての項目について説明を受けても、そのうちどの項目が自分にとって特に重要なのかがかえってわかりにくくなっている。
- インターネット、電子メール等の情報通信技術を重要事項説明の際に活用することが必要。
2. 課題に対する対応策及び今後の検討の方向性
(1)重要事項説明書の説明前交付
- 消費者が契約内容を十分に理解、認識した上で、自己の意思に基づいて契約締結を行うためには、重要事項説明が行われる前に重要事項について記載した書面を受け取ってその内容を検討した上で重要事項説明に臨むことができるよう、重要事項説明書を説明の一定期日前までに消費者に対して交付することとすることが適当。
(2)口頭説明を不要とする項目の整理
- 消費者にとって意思決定の判断材料となるべき要点をわかりやすくするため、(1)の重要事項説明書の説明前交付を行う制度とすることを前提として、一般の消費者が書面の記載を読めば十分に理解できる項目を制度的に選定し、当該項目については、交付する書面に記載さえすれば口頭説明までは不要とすることが適当。
(3)その他の方策
- 一般的な重要事項説明書のひな型や各項目についての解説書、重要事項説明用の専門用語集、イラスト付きの解説本等の作成及びインターネットへの掲載等が有効。
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