FRK会報
会報No.83(2007年JANUARY)

不動産取引における消費者への情報提供のあり方
に関する調査検討委員会報告書について


国土交通省は、昨年12月に宅地建物取引業法に規定されている重要事項説明の整理・合理化を検討していた「不動産取引における消費者への情報提供のあり方に関する調査検討委員会」(座長:岡本正治 弁護士・立命館大学大学院教授)の報告書を公表しました。今後、さらに取引形態ごとの取引実態等を十分に踏まえつつ、対応策の制度化を視野に入れた検討を具体的に行う予定です。以下に報告書のポイントを掲載します。
<報告書のポイント>

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明は、近年説明項目が増加する傾向にあり、消費者にとって何が重要であるかがわかりにくくなっているとの指摘を踏まえ、消費者が取引を行うに当たって必要とする情報を消費者が理解できる形で適切に提供する方策を検討することが重要であるとの問題意識に立ち、重要事項説明の合理化に向けた見直しについて、以下の検討を行った。

1. 課題の抽出

  • 重要事項説明は、実態として契約締結直前になされることが多いが、一方で、消費者の大多数は契約締結の一定期間前に説明を受けることが望ましいと認識している。具体的には、消費者としては、契約締結直前に書面を交付されて説明を受けるのでは、契約締結までに検討する時間的余裕が十分に確保できないとの指摘がある。
  • 全体の説明項目数が増加傾向にあるため、説明に長時間を要する場合もあり、消費者にとっては一度にすべての項目について説明を受けても、そのうちどの項目が自分にとって特に重要なのかがかえってわかりにくくなっている。
  • インターネット、電子メール等の情報通信技術を重要事項説明の際に活用することが必要。

2. 課題に対する対応策及び今後の検討の方向性

(1)重要事項説明書の説明前交付

  • 消費者が契約内容を十分に理解、認識した上で、自己の意思に基づいて契約締結を行うためには、重要事項説明が行われる前に重要事項について記載した書面を受け取ってその内容を検討した上で重要事項説明に臨むことができるよう、重要事項説明書を説明の一定期日前までに消費者に対して交付することとすることが適当。

(2)口頭説明を不要とする項目の整理

  • 消費者にとって意思決定の判断材料となるべき要点をわかりやすくするため、(1)の重要事項説明書の説明前交付を行う制度とすることを前提として、一般の消費者が書面の記載を読めば十分に理解できる項目を制度的に選定し、当該項目については、交付する書面に記載さえすれば口頭説明までは不要とすることが適当。

(3)その他の方策

  • 一般的な重要事項説明書のひな型や各項目についての解説書、重要事項説明用の専門用語集、イラスト付きの解説本等の作成及びインターネットへの掲載等が有効。
詳細については、国土交通省のホームページでご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/01/011220_2_.html

<問い合わせ先> 総合政策局不動産業課 TEL:03-5253-8111(代表)

[会報目次][年頭のご挨拶][国土交通省税制改正主要項目][瑕疵担保責任の履行に関する措置]
[住宅・土地税制改正実現総決起大会][検討委員会報告書][既存住宅の流通促進に関する研究会]
[習得研修会][中堅営業管理職研修][近畿支部中堅営業管理職研修][登録講習]
[会員の皆様へのお願い][FRKNOW][書籍紹介][INFORMATION]