FRK会報
会報No.83(2007年JANUARY)

新理事長挨拶

「豊かな住生活」の実現に向けて
更なる流通市場の活性化を

社団法人 不動産流通経営協会
理事長 三浦正敏

年頭にあたって謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

皆様には佳き年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、わが国経済は、企業の好調さが持続しており、雇用情勢にも改善に広がりがみられる等、消費に弱さがみられるものの景気は緩やかな回復を継続しております。

不動産市場も昨年は、大都市部を中心として、マンション分譲やオフィスビル事業の活発な動きの中で、仲介・賃貸の各事業も概ね好調さを持続しております。しかしながら、全国的にみますと、なお地価の下落傾向は続いており、この資産デフレ状況を脱却するとともに、経済をさらに活性化し、国民生活を豊かにするためには土地・住宅の流通拡大に寄与する政策を進めていくことが強く求められております。

このような経済環境のもと、昨年末発表された与党税制改正大綱におきましては、当協会の重点要望事項であった、「特定の居住用財産の買換え等に関する特例」を始めとして、「住宅用家屋についての登録免許税の軽減措置」等の住宅に関する各特例措置の延長や、「住宅ローン減税の効果の確保」「バリアフリー改修促進税制の創設」が図られたことは、住宅流通市場に与える影響に配慮されたものとして評価できるものであります。

また、昨年は、国の住宅政策が大きく転換した一年でありました。

「住生活基本法」が6月に施行され、従来の「量」の確保を図ることを目指した「住宅建設計画法」の枠組みから、「豊かな住生活を実現」するため、(1)良質な住宅ストックの形成 (2)住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための住宅市場の環境整備 (3)住宅のセーフティネットの構築による、住生活の「質」の向上を図る政策への本格的な転換を図る道すじが示されました。

当協会におきましても、住生活基本法施行を踏まえ、有識者からなる「既存住宅の流通促進に関する研究会」を9月に設置し、(1)既存住宅流通量の把握方法 (2)既存住宅流通促進のための住宅検査のあり方 (3)住宅の質と価格評価の関連性についての基礎的研究を行ってまいりました。今後これらの研究成果を踏まえ、既存住宅流通市場の活性化に向けての条件整備等具体的な方策の展開について、積極的な提言を行ってまいりたいと思います。

一方で昨年は、耐震強度偽装問題等を契機とし、建築物の安全性確保の観点から、建築基準法の改正を始めとして、アスベスト調査と耐震診断に係る情報や宅地・建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関して売主等が講ずる措置について重要事項説明に追加されるなど、所要の法令の整備が行われました。

このような重要事項説明項目の増大を背景に、国土交通省による「不動産取引における消費者への情報提供のあり方に関する調査検討委員会」が発足し、重要事項説明の項目の整理及び合理化をはじめとして、不動産取引全体を通じて消費者にとって効率的で分かりやすい情報提供はどうあるべきかについて、検討が行われました。当協会といたしましては、検討結果の取扱いについて流通現場の実情等を踏まえながら注意深く見守ってまいるとともに、会員会社の皆様にご利用いただき、着実に普及・浸透してきております不動産売買契約書および重要事項説明書などのFRK標準書式を消費者が理解しやすいものに更に充実させ、宅地建物取引業法などの法律改正に、いち早く対応するなど会員のニーズに応えた活動を実施してまいります。

次に、情報化ネットワーク事業につきましては、主力事業である「ホームナビ」は、スタートして今年で10年目という節目の年になります。この間、インターネットの不動産物件情報サイトとして、その機能を果たしてまいりましたが、昨今のインターネット等を巡る技術革新、環境の変化は目覚しいものがあることから、ホームナビシステムの基本的な見直しを行い、消費者のニーズや会員の要望を反映した「次期ホームナビシステム」についての検討・開発を行ってまいります。

また、レインズにつきましては、4機構・4団体による「全国4レインズシステム統合検討特別委員会」等が設置され、システム統合について検討をしておりますが、当協会としても全国4レインズシステムの統合の是非に関し、他の構成団体等との意見交換を行い、十分な検討を行ってまいります。

その他の協会活動として、研修活動につきましては「実力アップ講座」を中心に「初任従業者教育研修」「中堅営業管理職研修」の3種類の階層別研修を開催して多くの会員のご参加をいただいておりますが、今年も、従業者のレベルアップ、コンプライアンス意識昂揚のための研修活動として更に皆様のお役に立てるように、研修内容等を更に充実させて実施してまいります。

今年は、経済に与える影響も大きいと予測されている団塊の世代の大量退職が始まる年であります。私ども不動産流通業界は多様化する消費者のニーズに応え、円滑な住み替えを通じて居住水準の向上を図るという、大きな社会的使命を担っています。そのためにも、不動産流通を促進するための国の政策、制度面からの支援等が期待されるところであり、本年は、こうした視点から積極的な検討や提言をしてまいる所存ですので、関係各位のご理解、ご協力を引き続きよろしくお願いいたします。

最後に、会員の皆様のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。


[会報目次][年頭のご挨拶][国土交通省税制改正主要項目][瑕疵担保責任の履行に関する措置]
[住宅・土地税制改正実現総決起大会][検討委員会報告書][既存住宅の流通促進に関する研究会]
[習得研修会][中堅営業管理職研修][近畿支部中堅営業管理職研修][登録講習]
[会員の皆様へのお願い][FRKNOW][書籍紹介][INFORMATION]