○ 説明すべき措置と説明すべき場合
説明すべき措置については、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の2で次の各号の一に該当するものとされています。
(1号)当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約又は責任保険契約の締結
(2号)当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する保証保険又は責任保険を付保することを委託する契約の締結
(3号)当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する債務について銀行等が連帯して保証することを委託する契約の締結
国土交通省によれば、上記については広く解釈するとのことですので、宅地または建物の瑕疵に関する保証保険、責任保険、保証委託に該当するものはすべて説明の対象となります。「宅地又は建物」ですので、宅地のみ、借地権付建物、マンションの場合や交換の場合も説明の対象となります。また、新築、中古を問いません。ただし、貸借については、宅地も建物も説明の対象とはなりません。
○ ガイドラインによる買主に説明すべき措置の概要
瑕疵担保責任の履行に関する措置については、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(ガイドライン)の第35条第1項第13号関係において、「その措置の概要」として、少なくとも次に掲げる事項を説明することとしています。
- 保証保険契約又は責任保険契約にあっては、当該保険を行う機関の名称又は商号、保険期間、保険金額及び保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
- 保証保険又は責任保険の付保を委託する契約にあっては、当該保険の付保を受託する機関の名称又は商号、保険期間、保険金額及び保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
- 保証委託契約にあっては、保証を行う機関の種類及びその名称又は商号、保証債務の範囲、保証期間及び保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
なお、ガイドラインでは、当該措置に概要として、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することを差し支えないとしています。
○ 新築住宅で措置を講じる場合
分譲業者が瑕疵担保責任の履行に関する措置を講じる場合には、上記のガイドラインに則して買主等に説明します。
例えば、財団法人住宅保証機構(以下「機構」という)の新築住宅についての「住宅性能保証制度」では、新築住宅の住宅販売業者または住宅建設業者(登録業者)が当該住宅を機構に登録し、機構は当該登録に基づいて当該登録業者の瑕疵担保責任に関する責任保険の付保を行っておりますので、機構への登録に基づき機構が登録業者の瑕疵担保責任に関する責任保険の付保を行う旨、保険期間、保険金額及び保険の対象とする瑕疵の範囲を説明することになります。
○ 既存住宅で措置を講じる場合
既存住宅の売買において、売主が瑕疵担保責任の履行に関する措置を講じる場合にも、住宅の販売または媒介等を行う宅建業者の取引主任者が上記のガイドラインに則して買主等に説明します。
○ 瑕疵担保責任の履行に関する措置に係る契約が未了の場合
ガイドラインでは、当該宅地又は建物が宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前のものである等の事情により、重要事項の説明の時点で瑕疵担保責任の履行に関する措置に係る契約の締結が完了していない場合は、当該措置に係る契約を締結する予定であること及びその見込みの内容の概要について説明するものとしています。
売買契約後に見込みの内容と実際の措置に係る契約の内容が異なる場合に備えて、説明する内容はあくまで見込であって変更する可能性があることを付記したり、審査・検査に合格しなかった等の理由により措置に係る契約が締結できなかった場合に備えて、その対応についての特約(例えば解除条件)をあらかじめ売買契約で定め、あわせて重要事項として説明しておくことが必要なケースもあるでしょう。
○ 契約書等の書面の交付について(第37条関係)
瑕疵担保責任の履行に関する措置は重説に追加されるとともに、宅建業法第37条第1項第11号により、措置の内容について記載した書面を交付しなければならないこととされましたので、ご留意ください。
なお、ガイドラインでは、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することとして差し支えないとしています。
|