来年度の税制改正に当たっては、明るさの見え始めた不動産流通市場に悪影響を与えるような税制措置を取らないことが最重要であり、また将来にわたってストックの活用、流通拡大を進める税制の枠組みつくりを目指すことが必要である。来年度税制改正にあたり、以下の要望を行う。
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1. 住宅取得・買換え促進のための住宅税制
(1)<重点項目>特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の特例の延長
住宅の含み損を抱える者の円滑な住み替えを促進するとともにライフステージに応じた適切な住宅の買換えを促進するため、特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例(平成18年12月末まで)を延長する。
(2)特定居住用財産の譲渡損失の特例の延長
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例(平成18年12月末まで)を延長する。
(3)特定の居住用財産の買換え等の特例の延長
買換えの円滑化を図るため、特定の居住用財産の買換え等の特例(課税繰延。平成18年12月末まで)を延長する。
2. 住宅取得・有効利用促進のための土地・住宅税制
(1)<重点項目>平成19年以降の住宅ローン減税の効果の確保
三位一体改革による税源移譲に伴い、平成19年以降の住宅ローン減税の効果が低減するため、その効果を確保する措置をとる。
(2)<重点項目>住宅用家屋についての登録免許税の軽減措置の適用期限の延長
住宅用家屋についての登録免許税の軽減特例の適用期限(平成19年3月末まで)を延長する。
(3)印紙税の軽減措置の適用期限の延長
不動産譲渡の契約書等の印紙税の税率の軽減特例の適用期限(平成19年3月末まで)を延長する。
(4)特定の民間宅地造成事業等の用に供するために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の特例の延長
特定の民間宅地造成事業等の用に供するために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の特例(平成18年12月末まで)を延長する。
(5)「特定事業用資産の買換え特例制度」等の延長
土地の流動化・有効利用を図るため、所有期間10年超の個人の特定の事業用資産の買換え特例および法人の特定の長期保有資産の買換え特例(平成18年12月末まで)を延長する。
3. 住宅金融公庫から独立行政法人への事業承継に伴う要望
現在、住宅金融公庫は非課税法人として抵当権設定登記に係る登録免許税が非課税とされているが、平成19年4月の独立行政法人による事業承継後も、住宅取得者の初期費用が増えないよう、「フラット35」の抵当権設定登記に係る登録免許税は非課税とする。
4. 住宅に係る消費税のあり方に関する検討および要望
住宅に係る消費税については、現在、特例措置はなく、また不動産流通税との重複課税の状況にあるが、消費税の税率等の議論においては、住宅が生活の基盤であることを考慮し、住宅に係る税が負担増とならないよう措置を講ずるべきである。
住宅金融公庫は、現在まで、一般消費者に対して長期・固定・低利の住宅取得資金を安定的に供給することにより住生活の向上に大きな役割を果たしてきている。
一方、「フラット35」(公庫の証券化支援による新型ローン)の申し込みは増加傾向ではあるが、かつての公庫直接融資の水準までには開きがあり、一般消費者の認知ならびに一般金融機関による取り組みは必ずしも十分ではない。
平成19年度の独立行政法人「住宅金融支援機構」への移行後も「フラット35」が公庫直接融資同様、広く普及することが必要である。
平成19年度は、「フラット35」に関する以下の要望を行う。
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1.「フラット35」全般について
(1)実行時金利について
「申し込み時」金利適用へ制度を変更する。
またはそれに代わる制度を検討する。
(2)申し込みから融資実行までの時間の短縮を図る。
(3)独立行政法人住宅金融支援機構への移行後も抵当権設定登記に係る登録免許税の非課税扱いの継続を図る。
2. 中古住宅への適用条件について
(1)技術基準を消費者に分かりやすい内容とし、より簡略化をして適用可能性を考慮した改善を行なう。
3. 優良住宅取得支援制度について
(1)戸数を大幅に拡大する。
(2)融資基準を緩和する。
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