FRK会報
会報No.79(2006年MAY)

平成18年度 事業計画

平成18年4月25日に開催された、当協会の第37回定時総会において「平成18年度事業計画」が決定されました。以下に、その要旨を掲載いたします。
不動産業界は、金融政策の動向等が懸念されるものの、不動産投資市場の拡大等により堅調な推移が期待されます。一方、住宅市場においては、少子・高齢化の進行や団塊世代の退職等に伴う住まい方の多様化が進む中で、昨年来取上げられているアスベストをはじめとする環境への配慮や建物の耐震性への関心の高まり等、社会情勢や消費者のニーズの変化に適合した、的確で信頼される対応が求められております。

国の住宅政策においても、現在成立を目指している「住生活基本法案(仮称)」においては、安全・安心で良質な住宅ストック・居住環境の形成、住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための住宅市場の環境整備が基本的施策と位置付けられ、量の充足から質の向上へ、市場機能重視への政策転換が明確となったことに加え、不動産流通事業者はこれらの政策を推進していくにあたって、担い手としての活動が期待されております。

本年度は以上の背景のもと、不動産流通活性化へ向け、税制・金融面や法改正等への政策提言、調査研究活動の拡充、不動産流通市場の信頼を更に高めていくための情報ネットワークの強化および教育研修活動の充実等が重要な課題であり、平成18年度においては、以下の内容を主要課題として事業活動を展開することといたします。

1. 不動産流通促進に向けた検討

(1)住宅政策の新たな展開への対応

国土交通省は、現在、「住生活基本法案(仮称)」の本通常国会での法案成立を目指している。同法案は、従来の「住宅建設計画法」の枠組みを転換し、良質な性能、居住環境、居住サービス等を備えた住宅ストックの形成等を通じて、豊かさを実感できる住生活の実現を図ろうとするものである。

当協会としては、これら新たな住宅政策の展開において実施される基本計画の策定、諸施策の策定・実施について、不動産流通業界の立場から協会としての意見を取りまとめ、流通現場の実情等も踏まえた意見具申等を行うなど的確に対応する。

一方、アスベスト問題に係る建築基準法の改正及び耐震改修法の改正に伴うアスベスト調査及び耐震診断に関する重要事項説明への追加に加え、本年度は耐震強度偽装問題への対応、不動産賃貸業・賃貸不動産管理業の適正化に向けた検討等諸法令・制度の整備が予定されており、これらの動向を注視しつつ、必要な対応を図っていく。

(2)その他の事業環境の変化等への対応

本年度は、金融商品取引法(仮称)の制定、信託法の改正、信託業法の再改正など、不動産の金融商品化をめぐる事業環境が、引き続き大きく変わろうとしている。また国土交通省においても不動産投資市場の整備、育成を図る諸施策、枠組みの検討を進めており、当協会としては、これら新たな不動産事業環境の変化への対応を図るため、会員に対するタイムリーな情報提供、講習会・セミナーの開催など会員のニーズに応えた活動を実施する。

2. 住宅・土地税制改正要望

平成19年度の住宅・土地税制改正要望は、平成18年度に期限切れとなる各種軽減措置の延長・改善及び消費税などの課題に関し、次の項目を中心に活動を展開する。

(1)平成18年度に期限切れとなる各種軽減措置の延長
(2)住宅ローン減税の減税効果の維持
(3)消費税等への対応

3. 安定的な住宅金融システムの構築と対応

国民の住宅資金ニーズである長期・固定・低利のローンが安定的に供給される住宅金融システムが確保されるよう、住宅金融公庫の民間住宅ローン債権の証券化支援事業(フラット35)の普及に協力するとともに、平成18年度末の独立行政法人への移行に留意しながら、フラット35に関する要望を行う。

4.「ホームナビ」事業の拡大・推進と不動産ジャパンの円滑な運営に向けての協力

「ホームナビ」は、「不動産ジャパン」の中核サイトであり、検索サイト等へのコンテンツ提供サイトとして、引き続き消費者のニーズや会員の要望を反映した機能の強化、登録情報の充実、インフラ環境の改良を実施すると共に、セキュリティレベルの維持向上を図る。

また、不動産ジャパンについて、消費者の利便性や会員の広告効果の一層の向上を図るため、情報の拡充ならびに効果的な広告の実施など、参加3団体と連携して適切な運営体制の確立に努める。

5. 指定流通機構構成団体(サブセンター)としての活動推進

(1)全国4指定流通機構構成団体としての活動推進

(財)東日本不動産流通機構においては、アクセス量の増大、利便性向上へ向け、次期システム構築の検討が進んでおり、構成団体としての協力を継続する。また、「全国4レインズシステム統合検討特別委員会」及び4機構4団体による「レインズシステム検討委員会・同ワーキング」に参加し、全国4レインズシステムの統合の是非に関し、意見交換、検討を行う。

(2)支部活動の円滑な運営に向けて支援を継続する。

6. 従業者の営業力向上とコンプライアンス意識昂揚のための教育研修活動の推進

「実力アップ講座」の一層の充実を図り、「初任従業者教育研修」「中堅営業管理職研修」を組み合わせた3種類の階層別研修を年度計画のもとに体系的に実施するとともに、会員のニーズにより積極的に応えていくための新しい研修制度、研修内容等について検討を開始する。

また、昨年度に引き続き「信託受益権販売業務に関する知識習得研修会」及び「信託関係法令に関する知識習得研修会」を実施する。

7. 調査研究活動の拡充

政策提言や各種の要望活動等に的確に反映させるため、利用目的に即した調査研究を実施する。具体的には、会員各社の協力を得て毎年実施している「消費者動向調査」を継続して実施するとともに、住宅市場の今後に大きな影響を与えると考えられる少子高齢化社会の進行に伴う、今後の住生活の動向等に関する調査を実施する。

8. 国際活動の推進

世界不動産連盟日本支部メンバーとしてバンコク世界総会に参加する。併せて、米国の不動産マーケットの状況や税制・法制度、インターネット事情等の情報収集のため、NAR(全米リアルター協会)との親交を深める。

9. その他の活動

(1)不動産売買契約書等標準書式の充実と普及の推進

消費者にとってより分かりやすく安全な取引の実現を目指して、一昨年の11月に策定した、不動産売買契約書および重要事項説明書などのFRK標準書式について、法令改正に対応した改訂を迅速に行うとともに、法令解説等の情報提供の充実等会員会社からの意見、要望を踏まえた改善を適宜行うことにより、会員会社の利用の促進と、本書式の普及を推進する。

(2)行動綱領の順守によるコンプライアンスの徹底

企業の社会的責任に関する消費者意識の高まりに適切に対応し、業界の信頼性の向上に向けて、レインズの適正利用及び不動産広告の適正化を含め、コンプライアンスの徹底を推進する。


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