FRK会報
会報No.85(2007年MAY)

平成19年度 事業計画

平成19年4月20日に開催された、当協会の第38回定時総会において平成19年度事業計画が決定されました。以下に、その要旨を掲載します。
不動産業界は、大都市圏を主としながらも不動産投資市場の拡大と相まって、総じて活発な状況にあります。不動産流通市場もその中にあって堅調な動きをみせており、今後消費の拡大が進めばこの状況は持続するものと期待されております。同時に、少子・高齢化の進行や団塊世代の大量退職等による社会構造の変化やライフスタイルの多様化等、消費者意識の変化の中で適切な居住環境等の選択が安心かつ円滑に行われるよう的確な対応が求められております。

国の住宅政策においても、平成18年6月に施行された「住生活基本法」により“ストック重視”“市場重視”の施策展開が図られることとなり、さらに、同法に基づき平成18年9月に策定された「住生活基本計画」の中で、既存住宅の流通促進が住宅施策の目標として明確に位置付けられ、また自由民主党の“200年住宅”ビジョンにおいても、良質な住宅ストックが循環利用される既存住宅流通市場の整備が主要な検討課題と位置付けられるなど、不動産流通業界への期待が高まっております。

本年度は以上の背景のもと、不動産流通の更なる活性化へ向け、不動産流通市場の動向等についての調査研究活動の拡充とこれらの実情を踏まえた税制・金融・法改正等の政策提言活動の推進、IT化の更なる進展を踏まえた次期ホームナビシステムの構築など情報ネットワークの強化、不動産流通市場の信頼を更に高めていくための研修広報活動の充実等が重要な課題であり、平成19年度においては、以下の内容を主要課題として事業活動を展開することといたします。

I 政策活動の推進

1.不動産流通促進に向けた検討

(1)住宅政策の新たな展開への対応

「住生活基本計画」による住宅政策の新たな展開へ向け、既存住宅の円滑な流通促進・拡大に向けて昨年度実施した「既存住宅の流通促進に関する研究会」の調査結果等をもとに、流通円滑化のための諸施策の検討を進め、必要に応じ税制・金融・法改正等の政策提言活動等を推進していく。

(2)不動産取引の適正化に向けた対応

国の不動産取引適正化へ向けての以下の検討等に対し、関係団体との連携を図り、不動産流通現場の実情を踏まえた意見具申等を行う。

  • 重要事項説明制度のあり方
  • 不動産賃貸業、賃貸不動産管理業のあり方
  • 犯罪収益移転防止法への対応

(3)不動産投資市場の事業環境の変化への対応

金融商品取引法、改正信託法の施行など不動産証券化に関する法制度の本格的な実施が予定されており、的確な情報提供など、会員各社のニーズに応える活動を実施していく。

また、金融商品化された不動産に関する法制度と併せて、実物不動産の投資市場に関しても各種制度の整備、改正が予定されており、これらに関しても所要の対応を行っていく。

2.住宅・土地税制改正要望

平成20年度の住宅・土地税制改正要望は、平成19年度に期限切れとなる各種軽減措置の延長・改善及び本年度引き上げの議論が予想される消費税などの課題に関し、要望活動を展開する。

3.住宅金融システムの構築と対応

独立行政法人住宅金融支援機構移行後も、国民の住宅資金ニーズである長期・固定・低利のローンが安定的に供給される住宅金融システムの確保及び既存住宅融資への円滑な適用等について引き続き要望を行う。

II 調査研究活動の拡充

1.既存住宅の流通促進に関する研究の推進及び流通市場動向に関する資料整備の検討

昨年度実施した「既存住宅の流通促進に関する研究会」の調査結果等をもとに、本年度は、住宅流通量の継続的な把握と流通に適する住宅ストックの実態把握、海外の住宅流通実態の調査等を進める。さらに、住宅流通に関する調査結果を踏まえ不動産流通市場の動向に関する資料の整備等について検討を行う。

2.消費者動向調査の継続実施と一般消費者を対象とした調査の検討

政策提言や各種の要望活動に的確に反映させるため、会員各社の協力により毎年実施している「不動産流通業に関する消費者動向調査」を継続して実施するとともに、消費税等について一般消費者を対象とした調査の実施を検討する。

III 情報ネットワークの強化

1.インターネット事業の推進

ホームナビシステムについての第三者によるコンサルティング報告を踏まえ、次期システムの開発を進めるとともに検索サイト等へのコンテンツ提供及び業界代表のホームページに相応しい機能の構築について検討を行う。

2.不動産ジャパンの円滑な運営に向けての協力

消費者の利便性や会員の広告効果の一層の向上を図るため、情報の拡充ならびに効果的な広告の実施に関し、参加3団体との連携のもと適切な運営に協力する。

3.指定流通機構構成団体としての活動推進

不動産取引の透明性の確保が求められる状況下で、指定流通機構の役割は重要になってきており、他の構成団体と連携し全国指定流通4機構の円滑な運営に努めるとともに、全国指定流通4機構ならびに構成4団体で設置された検討機関(検討委員会他)に参画し、全国4レインズシステムのデータベースの集約等に関し、意見交換、検討を行う。

IV 研修広報活動の推進

1.教育研修活動の拡充

不動産取引の適正化に向けてのコンプライアンス意識の昂揚を図り、消費者に対し充分な情報提供と適切な対応ができる人材を育成するため、現行の階層別研修の位置付けを明確化する。さらに不動産の証券化やIT化の進展に伴う新たな研修の実施についての検討を行う。また、金融商品取引法施行後の第二種金融商品取引業務(信託受益権販売業務)に関する知識習得研修会を実施するとともに、支部における階層別研修等の実施を支援する。

2.一般消費者向け広報活動の充実

当協会の活動や政策提言、各種調査結果などについて積極的に情報を発信するとともに不動産流通についての消費者の関心や意識の高揚を図るため、一般消費者を対象としたセミナーを前年度に続き実施する。

3.会員向け広報活動の推進

法律・税制等の改正内容や理事会、各委員会等の協会活動について、「FRK会報」「ホームナビ」を活用し、迅速・的確な情報提供を行うとともに、有益なテーマについて会員向けのセミナー等を適宜実施する。

V 国際活動の推進

世界不動産連盟日本支部メンバーとしてバルセロナ世界総会に参加する。併せて、米国の不動産マーケットの状況や税制・法制度、インターネット事情等の情報収集のため、NAR(全米リアルター協会)との親交を深める。

VI その他の活動

1.不動産売買契約書等標準書式の充実と普及の推進

消費者にとってより分かりやすく安全な取引の実現を目指して、平成16年11月に策定した、不動産売買契約書および重要事項説明書などのFRK標準書式について、法令改正に対応した改訂を迅速に行うとともに、法令解説等の情報提供の充実、使用頻度の高まりが見込まれる書式の追加等会員会社からの意見、要望を踏まえた改善を適宜行うことにより、会員会社の利用の促進と、本書式の普及を推進する。

2.行動綱領の順守によるコンプライアンスの徹底

企業の社会的責任や消費者意識の高まりに適切に対応し、業界の信頼性の向上に向けて、レインズの適正利用及び不動産広告の適正化を含め、会報や各種の研修等を通じてコンプライアンスの徹底を推進する。


[会報目次][新理事長・前理事長挨拶][平成19年度事業計画]
[次期ホームナビ][レインズシステムの検討状況][平成19年地価公示]
[企画専門委員会][実力アップ講座][役員名簿][会員の皆様へのお願い]
[FRKNOW][事務局だより][会員だより]