FRK会報
会報No.85(2007年MAY)

国土交通省が平成19年地価公示を発表

国土交通省土地・水資源局地価調査課より発表された、平成19年地価公示に基づく地価動向(概括)を掲載します。
全国平均で見ると、住宅地及び商業地ともに16年ぶりにわずかな上昇となったが、これは地点数の多い三大都市圏及び地方ブロック中心都市の上昇が押し上げたものである。
  1. 景気回復・都心回帰の動きの中、三大都市圏及び地方ブロック中心都市を中心に、それぞれの地域全体の平均が上昇となったが、これは、高級住宅地、ブランド力の高い地域や鉄道新線沿線の地域等利便性・収益性の高い限られた一部地域における高い上昇が地域全体の平均を押し上げたものである。
    また、マンション・オフィス需要の増大や不動産証券化市場の規模の拡大が地価の上昇傾向に寄与していると考えられる地域が見られた。先行きについては、今後の景気・金利動向、マンション分譲価格の設定を含めた供給側の動向やそれに対する需要側の動向、マンション・オフィス賃料の動向の影響などに留意すべきである。

  2. 地方中心都市等においても、都市再生・地域再生の取り組み、市街地整備や交通基盤整備等による利便性・収益性の向上を反映して、上昇地点が現れ、又は増加している地域もあったが、その他の地域においては、おおむね下落幅は縮小しているものの依然として下落が続いた。

このように、今回の地価公示に基づく地価動向は、総じて見れば、三大都市圏及び地方ブロック中心都市の一部に地価の上昇傾向が見られる一方、地方圏では引き続き下落傾向が見られるが、先行きについては、景気・金利動向、需給バランスの動向の影響などに留意すべきである。

平成19年地価公示についての当協会のコメント
社団法人 不動産流通経営協会
顧問・前理事長 三浦正敏
地価は、住宅地、商業地ともに、三大都市圏および地方ブロック中心都市を中心にした上昇により、全国平均で平成18年地価公示に比べわずかな上昇となったが、全国の地方圏においては依然として、地価下落が続いている状況にある。

今回の地価公示においては、利便性、収益性の高い地域と、その他の地域の地価動向の差異が一層鮮明になったといえるであろう。また、三大都市圏および地方ブロック中心都市の今後の地価見通しについても、景気および金利の動向、建築価格の上昇等によるマンションの需給動向等に留意する必要があるといえるであろう。

今後、少子高齢化の進展、団塊世代の大量退職など社会情勢の更なる変化が見込まれる中、全国レベルでの順調な地価回復を実現するためには、地方経済の活性化を進め、国民生活の基盤である土地・住宅に関する多様なニーズに応える政策の推進が不可欠である。

国の住生活施策の方針である住生活基本法、住生活基本計画さらには現在、自由民主党で検討されている「“200年住宅”ビジョン」等でも示されている通り、住宅ストックの有効な活用を図る既存住宅流通市場の活性化は、今後の政策上の重点課題であり、不動産流通を促進する税制の継続実施および住宅投資等に対する幅広い政策面での支援策の強化がさらに求められる。


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