FRK会報
会報No.75(2005年SEPTEMBER)

平成18年度当協会税制改正並びに金融制度に係る要望(抜粋)

我が国経済は、個人消費の回復基調、設備投資の堅調など明るさも見える反面、原油高による輸出への影響など、懸念材料も多く見受けられます。地価動向については、首都圏都区部等では上昇や横ばいの地点も増加しつつあるものの、いまだ地方圏では、本格的な回復には程遠い状況が続いております。

このような状況のもとで、全国レベルでの資産デフレ状況を克服し、経済をさらに活性化するためには、国民生活の基盤である土地・住宅の流通拡大に寄与する税制・金融制度等の改善を進めていくことが一層求められております。この観点に立って、当協会では来年度の税制、金融制度についての要望をとりまとめ、国土交通省他関係先へ提出しました。要旨は以下の通りです。

1. 平成18年度税制改正に関する要望

来年度の税制改正に当たっては、若干明るさの見え始めた不動産流通市場に悪影響を与えるような税制措置を取らないことが最重要であり、また将来にわたってストックの活用、流通拡大を進める税制の枠組みつくりを目指すことが必要である。その支援のための住宅の流通に関する税制上の取扱いに重点を置いた以下の要望を行う。

(1) 住宅取得促進・買換え促進のための住宅税制

  1. <重点項目>登録免許税、不動産取得税の特例措置の延長
    流通税の税率が倍増すると、諸費用が上昇し、住宅購入マインドが減退することが予想される。これが不動産流通市場の活性化を阻害し、ひいては景気に悪影響を及ぼしかねない。ついては、次の流通税の特例措置を延長する。
    イ.  登録免許税の特例措置の延長
    所有権の保存登記0.2%(本則0.4%)、移転登記(売買・贈与等1%(本則2%)など)の軽減特例の適用期限(平成18年3月末)を延長する。
    ロ.  不動産取得税の特例措置の延長
    3%の特例措置(本則4%)の適用期限(平成18年3月末)を延長する。
    宅地等の課税標準1/2の適用期限(平成17年12月末)を延長する。
    新築住宅を宅建業者が取得した(自己居住用以外の取得)ものとみなす日を、新築の日から1年を経過した日とする特例措置(本則6ヶ月)の適用期限(平成18年3月末)を延長する。
    住宅用土地の減額措置について、土地の取得から住宅の新築までの期間を3年、やむをえない事情があるときは4年とする特例措置(本則2年)の適用期限(平成18年3月末)を延長する。

  2. 贈与税の特例措置の適用期限(平成17年12月末)の延長等
    イ.相続時精算課税方式の3,500万円住宅取得資金の特例の適用期限の延長
    ロ.550万円住宅資金の特例(5分5乗方式)の存続

  3. 住宅ローン減税制度の特例の住民税への適用
    所得税から住民税への税源移譲に伴い、住宅ローン減税制度による減税効果を維持するため、住民税にも適用する。

  4. 新築住宅に係る固定資産税の税額2分の1相当額減額の特例措置の延長
    住宅取得者の初期負担の軽減を図るため、新築住宅の固定資産税軽減特例の適用期限を延長する。

(2) 流動化・有効利用促進のための土地・住宅税制

  1. 商業地等の固定資産税等の負担の軽減
  2. 家屋の固定資産税等の評価の見直し
  3. 既存住宅、既存事業用建築物の耐震改修工事に係る税額控除の創設
  4. 中古住宅についての不動産取得税の適用要件の緩和
  5. 法人の特定の事業用資産の買換え特例の延長

(3) 住宅に係る消費税および不動産流通税のあり方に関する検討の実施

住宅に係る消費税については、現在、特例措置はなく、また不動産流通税との重複課税の状況にあるが、消費税の税率等の議論においては、住宅が生活の基盤であることを考慮し、住宅に係る税が負担増とならないよう措置を講ずるべきである。

2. 平成18年度住宅金融公庫融資等に 関する要望

住宅金融公庫は、現在まで、一般消費者に対して長期・固定・低利の住宅取得資金を安定的に供給することにより、住生活の向上に大きな役割を果たしてきている。昨年度から名称を「フラット35」とした公庫の証券化支援による新型ローンの申し込みは増加傾向であるが、一般消費者の認知ならびに一般金融機関による取り組みは必ずしも十分ではない。今後、独立行政法人「住宅金融支援機構」への移行後は「フラット35」が公庫直接融資同様、広く普及することが必要である。
平成18年度は、「フラット35」に関する以下の要望を行う。

(1) 「フラット35」全般について

  1. 実行日・金利について
    イ.実行日を増加し、平日全てを実行日に設定する。
    ロ.金利設定の制度見直し、1ヶ月ごとの見直しを改善する。
  2. 適合証明書・建物検査を撤廃ないしは簡略化を図る。
  3. 金融機関窓口の対応の統一化を図る。
  4. 保留地等の取扱いを制度化する。
  5. 申込み書類について
    イ.申込み書類の金額(\400)を明示する。
    ロ.申込み書類を普及協会から購入できるように制度化する。

(2) 中古住宅への適用条件について

技術基準を消費者に分かりやすい内容とする。

(3) 優良住宅取得支援制度について

  1. 5,000戸枠を撤廃する。
  2. 融資基準を緩和する。

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