FRK会報
会報No.75(2005年SEPTEMBER)

平成18年度 国土交通省税制改正要望事項(抜粋)

国土交通省では、この度平成18年度の税制改正要望を発表しました。不動産関係税制に係る主な内容は次の通りです。
1. 土地・住宅対策の推進

(1) 土地の流動化・有効利用の促進

  1. 土地・建物に係る流通税の特例措置の延長(登録免許税、不動産取得税)
    資産デフレからの脱却を確実なものとし、新たな産業構造に対応した土地利用を実現するため、取得コストの軽減により、不動産の流動化を促進することが不可欠であるため、土地・建物に係る流通税を軽減する特例措置を延長する。→表1参照

    表1 登録免許税(土地・建物)と不動産取得税の特例措置

  2. 土地に係る固定資産税等の負担軽減(固定資産税、都市計画税)
    平成6年度の評価替えで、地価公示価格の7割評価が導入されて以降、地価が下落する中で固定資産税収が増大し、商業地等で多大な負担感をもたらしている。
    我が国の重要課題である都市再生、地域再生の実現の観点からも、特に税負担感の高い商業地等における負担軽減を図ることによって土地の有効利用を促進する必要があることから、平成18年度の固定資産税の評価替えに際し、負担水準の上限を60%へ引き下げる軽減措置を講ずる。

  3. Jリート・SPCに係る特例措置の延長(登録免許税)
    不動産市場を活性化させ資産デフレの解消を図るためには、約1,400兆円といわれる個人金融資産を不動産市場へ振り向け、「強力な買い手」を創出させる不動産証券化を推進することが必要である。
    このためには、JリートやSPCが不動産を取得しやすい環境を引き続き整備することが重要であることから、Jリート等に係る登録免許税の特例措置(税率:6/1000)を延長する。

(2) 住宅対策の推進

  1. 三位一体改革による税源移譲に伴う住宅ローン減税効果の確保に関する措置
    三位一体改革による税源移譲に伴い中堅所得者層に対する住宅ローン減税の効果が低減するおそれがあることから、その効果を確保するため、所要の措置を講ずる。

  2. 住宅取得等資金に係る贈与税の特例措置の延長(贈与税)
    高齢者の資産の有効活用による住宅投資の活性化を図るとともに、住宅取得者の自己資金の充実による良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため、住宅取得等資金について、相続時精算課税制度の非課税枠2,500万円に1,000万円を上乗せするとともに65歳未満の者からの贈与も対象とする特例措置の適用期限を延長する。
    また、上記の特例措置との選択により、住宅取得等資金のうち1,500万円までの部分を5分5乗方式により計算する特例措置の適用期限を延長する。

  3. 新築住宅に係る固定資産税の減額措置の延長(固定資産税)
    住宅取得者の初期負担の軽減を通じて、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を延長する。

  4. 優良賃貸住宅建設促進税制の延長(所得税、法人税、固定資産税)
    居住環境が良好な賃貸住宅の供給を促進するため、特定優良賃貸住宅建設促進税制及び高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制の適用期限を延長する。

  5. 新築住宅のみなし取得時期等に係る不動産取得税の特例措置の延長(不動産取得税)
    住宅の流通コストの軽減等を通じて、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため、新築住宅及び新築住宅用の土地に係る特例措置の適用期限を延長する。
2. 安全・安心の確保

(1) 住宅に係る耐震改修促進税制の創設(所得税、個人住民税)

既存住宅ストック(住宅の敷地を含む。)の耐震性を確保し、良質な住宅ストックの形成を促進するため、耐震改修工事に要する費用の一定割合(10%程度)を所有者(マンション共用部分又は分譲マンションの敷地を対象とする工事の場合は、各区分所有者の負担分の一定割合を各区分所有者)の所得税額、個人住民税額のそれぞれから控除する特例措置を創設する。

(2) 事業用建築物に係る耐震改修促進税制の創設(所得税、法人税)

既存事業用建築物ストックの耐震性を確保し、良質な建築物ストックの形成を促進するため、耐震改修工事に要する費用を30%特別償却する特例措置を創設する。

(3) 盛土宅地に係る耐震改修促進税制の創設(所得税、個人住民税)

地震の際に崩壊する危険性の高い盛土宅地の耐震性を確保し、良質な宅地ストックの形成を促進するため、耐震改修工事に要する費用の一定割合(10%程度)を所有者(複数の所有者が存する宅地を対象とする工事の場合は、各所有者の負担分の一定割合を各所有者)の所得税額、個人住民税額のそれぞれから控除する特例措置を創設する。

3. 都市再生・まちづくり

(1) 都市再生・地域再生

  1. 中心市街地活性化対策の推進(所得税、法人税、相続税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、事業所税、個人住民税)
    人口減少・超高齢社会の時代を迎えるなかで、我が国の中心市街地は、賑わいの喪失、郊外居住の進展等により年々その衰退が深刻になっている。このため、中心市街地活性化に資する事業を実施する民間事業者、事業に土地等を提供する地権者等に対して、民間事業者の活力と地域住民の協力による中心市街地活性化の実現を図るため、特例措置を講ずる。

  2. 都市再生促進税制の延長(登録免許税)
    都市再生特別措置法に基づく認定民間都市再生事業を引き続き促進するため、登録免許税に係る特例措置の適用期限を延長する。
4. その他

○特定の事業用資産の買換え等の特例措置の延長(所得税、法人税)


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