FRK会報
会報No.88(2007年NOVEMBER)

第12回「不動産流通業に関する消費者動向調査」
結果報告(概要)

当協会は、首都圏居住のユーザーを対象に「不動産流通業に関する消費者動向調査」を会員会社の協力を得て実施しました。これは、不動産流通市場における消費者の購入動向と住替えの形態を時系列に把握することを目的として行われたものです。以下に、調査結果の要旨を報告いたします。
[調査概要]
(1) 調査の目的

本調査は、居住用不動産取得者の取得行動、種々のサービス等の利用実態・評価を時系列把握することで、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、1991年から隔年で、2001年からは毎年実施しています。

(2) 調査対象

首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で、平成18年4月1日から平成19年3月31日の間に、購入した住宅の引渡しを受けた世帯を対象としています。
これらの調査対象者の抽出にあたっては、会員会社の協力を得て、住宅タイプ(新築戸建て・新築マンション・既存戸建て・既存マンション)のバランスに配慮し、対象を抽出いたしました。

(3) 調査方法

郵送配布・郵送回収

(4) 調査期間

発送時期:平成19年6月11日
回収締切:平成19年6月25日

(5) 配布・回収状況

  1. 発送総数 : 2,205票
  2. 有効回答数 : 849票
  3. 回収率 : 38.5%


1.住宅購入資金の内訳


■ 購入資金の調達において、親族からの贈与額が大幅増加、自己資金の比率も上昇

  • 「現金・預貯金など」「親族からの贈与」の利用者平均額は、新築・既存住宅購入者ともに前年度より増加している。(図1・2)
  • 「親からの贈与」の利用者は、新築住宅購入者で19.8%、既存住宅購入者で10.6%となっており、利用者平均額は新築・既存住宅購入者ともに1千万円を超える。(図1・2)
  • 「銀行等の民間ローン」の利用は、新築住宅購入者で利用率が前年度より11.9ポイント上昇し71.3%、平均利用額も3,364万円へ増加した。既存住宅購入者では、利用率はやや減少し65.9%、平均利用額は2,516万円となった。「フラット35」の平均利用額は、新築住宅購入者が2,512万円、既存住宅購入者が2,441万円であった。(図1・2)
図1 各資金の利用者平均額の変化/新築住宅購入者

図2 各資金の利用者平均額の変化/既存住宅購入者


■ 利用した民間ローンの金利タイプは、固定金利期間選択型が過半数、全期間固定型も2割を占め、固定期間10年以上が多数

  • 資金面からみた住宅購入理由では、新築住宅購入者において、「金利が低かった」が36.8%で最も多く、低金利が住宅購入の強い誘因となっている。(図3)

    図3 資金面の住宅購入理由



  • 利用したローン金利タイプについては、新築住宅購入者、既存住宅購入者ともに「固定金利期間選択型」が過半数を、「全期間固定金利型」が約2割を占めた。利用した「固定金利」の固定期間は、10年以上が56.3%を占めている。(図4・5)

    図4 利用した民間ローンの返済金利



    図5 利用した「固定金利」の固定期間



  • 金利の選択理由は、すべての金利タイプで「現在の金利が低いから」が第1位となっている。2位以降についてみると、「全期間固定金利型」では「景気に左右されず支払い計画を立てられるから」(27.7%)と「金利が上昇したときに月々の支払い額が上昇するのがいやだから」(25.8%)が多く、「変動金利型」では「今後も金利はそれほど上昇しないと思ったから」(27.0%)が多くなっている。 (図6)

    図6 「固定金利」または「変動金利」を選択した理由


2.住宅購入にあたっての贈与の状況

贈与者(親)における贈与者年齢65歳未満の割合は4割強
贈与者年齢65歳未満における受贈者の年齢は40歳未満が96.1%
  • 贈与した親の年齢を65歳未満と65歳以上に分けると、新築住宅購入者では47.9%、既存住宅購入者では32.7%が65歳未満であった。(図7)
  • 贈与者年齢65歳未満では、受贈者の年齢が39歳以下の割合が96.1%、贈与者年齢65歳以上では52.1%となっており、相続時精算課税制度の目的である親から子への早期の財産移転が実現されていることがうかがわれる。(図8)
  • 受贈者の世帯構成をみると、夫婦と子供がいるが贈与者年齢65歳以上では71.8%、贈与者年齢65歳未満でも56.8%を占めている。また、贈与者年齢65歳未満については「夫婦だけ」の世帯も41.2%を占める。(図9)
  • 受贈者の世帯収入が800万円未満の割合は、贈与者年齢65歳未満で58.8%、65歳以上で38.0%となっており、収入が比較的低い層では生前贈与により住宅取得が容易となっていることがうかがえる。(図10)

    図7 新築・既存別贈与した親の年齢



    図8 受贈者の年齢



    図9 受贈者の世帯構成



    図10 受贈者の世帯収入


[会報目次]
[第12回「不動産流通業に関する消費者動向調査」結果報告(概要)]
[「平成19年都道府県地価調査」についての理事長コメント]
[「消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案」について]
[「不動産業における犯罪収益移転防止及び反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会」の設立について]
[流通市場研究会について][平成19年度初任従業者教育研修 実施報告]
[FRKNOW][INFORMATION]