FRK会報
会報No.82(2006年NOVEMBER)

第11回
「不動産流通業に関する消費者動向調査」結果報告(概要)

当協会は、首都圏居住のユーザーを対象に「不動産流通業に関する消費者動向調査」を会員会社の協力を得て実施しました。これは、不動産流通市場における消費者の購入動向と住替えの形態を時系列に把握することを目的として行なわれたものです。以下に、調査結果の要旨を報告いたします。
【調査概要】

(1)調査の目的

本調査は、居住用不動産取得者の取得行動、種々のサービス等の利用実態・評価を時系列把握することで、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、1991年から隔年で、2001年からは毎年実施している。

(2)調査対象

首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で平成17年4月1日から平成18年3月31日の間に、購入した住宅の引渡しを受けた世帯を対象としている。
これらの調査対象者の抽出にあたっては、会員会社の協力を得て、住宅タイプ(新築戸建て、新築マンション、既存戸建て、既存マンション)のバランスに配慮し、対象を抽出した。

(3)調査方法

郵送配布・郵送回収

(4)調査期間

発送時期:平成18年6月12日
回収締切:平成18年6月26日

(5)配布・回収状況

1.発送総数:2,646票
2.有効回答数:992票
3.回収率:37.5%

1.買い換えによる売却損益の発生状況

■ 売却損発生率は82.1%、1,000万円以上の高額売却損発生世帯も半数以上

  • 自己所有住宅から住み替えた世帯の70.1%が従前住宅を売却しており、このうち売却損が発生した世帯は82.1%に達する。売却損発生率は1999年以降毎年増加傾向にあったが、はじめて減少に転じた。(図1)
  • 売却損の金額は縮小しており、「1千万円以上損」は、前年度比3.8ポイント減となってはいるが、52.6%と半数以上を占める。(図1)
  • 売却住宅の築年数別に売却損の発生状況をみると、築20年以内では売却損の発生率が依然として高く90%以上となっている。とくに、1990〜1994年の5年間に竣工した築10年超から15年の住宅において売却損の額が大きく、1,885.0万円となっている。他方、「築20年超」の売却損発生率は64.8%であった。(図2)

図1 調査年次別売却損益の発生状況

図2 売却住宅の築年数別、売却損の発生状況

2.売却損発生世帯の状況

■ 買換えで78.1%が床面積増加、新築住宅から既存住宅への住み替えも多数

  • 取得年別に売却損の発生状況をみると、1990〜1994年の5年間に取得した住宅において売却損の額が大きく「1千万円以上損」が100%となっている。(図3)
  • 譲渡損失者は、従前住宅を平均3,589万円で購入、2,139万円で売却しており、その差額はマイナス1,450万円である。従前住宅売却後の現住宅の床面積が、従前住宅より増加した割合は78.1%にのぼり、損切りをしながらライフステージに合わせた買い換えをおこなっている状況がうかがえる。(図4)
  • 住み替え前後の建物形態をみると、従前住宅では、新築マンションが49.3%と最も多く、新築一戸建てを合わせると70%近くを占めるが、現住宅では、既存マンションが31.0%と最も多く、買換え購入の場合、新築・既存にこだわらず、自分が気に入ったものや必要なものを選んでいることがうかがえる。(図5)

図3 取得年別の譲渡損失額

図4 従前住宅に対する現住宅の床面積比

図5 従前住宅と現住宅の建物形態別の戸数比較

※従前住宅の建物形態記入なしには「土地」3件を含む

■詳細については、こちらをご覧ください。

第11回 不動産流通業に関する消費者動向調査
http://www.homenavi.or.jp/teigen/06shouhisha_doukou.pdf
(PDF:556KB)


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