社会資本整備審議会産業分科会不動産部会は、昨年10月24日に国土交通大臣の諮問を受けて、都市地域経営の基盤となる不動産の価値創造と不動産への継続的かつ安定的な資金の循環を実現する不動産市場はいかにあるべきかについて検討を行ってきた。
この間、同部会において、昨年12月26日に、不動産投資のリスクを踏まえた情報開示のあり方、投資不動産の適正管理の枠組みのあり方、投資家特性に応じた投資家保護のあり方を柱とする「中間整理」を行った。
今般、「中間整理」以降の部会における検討状況や金融商品取引法の成立も踏まえ、これまで同部会において延べ8回にわたり検討を重ねてきた成果を、社会資本整備審議会の答申「今後の不動産投資市場のあり方について(第一次答申)」としてとりまとめ、今後の不動産投資市場の健全な発展を図る観点から重点的に展開すべき施策の方向性を提示するものである。
1. 目指すべき不動産投資市場の姿
急速に成長してきた不動産投資市場が、今後、安定的に発展するためには、以下のような市場の姿を目指す必要がある。
(1)幅広い投資家が参加できる、リスクとリターンの透明性の高い市場
(2)良質な不動産を生み出し、バリューアップを促進する市場
(3)物件・資金・人材が円滑に展開し、自立的に発展する市場
2. 市場整備のために講ずべき施策
(1)投資対象不動産についてのデューデリジェンスの適正化
[講ずべき施策]
○取引関係者間におけるエンジニアリングレポート(ER)の活用促進のためのER作成基準の標準化
○ER作成機関の市場評価を推進するためのERの概要やER作成機関名の自主的な公表
(2)投資対象不動産の情報提供内容の共通化
[講ずべき施策]
○不動産投資商品に関する不動産のリスク情報の共通化のため、宅地建物取引業法上の重要事項説明事項を金融商品取引法、不動産特定共同事業法の法体系に位置付け
(3)投資対象不動産の管理の適正化
[講ずべき施策]
○不動産管理の質の比較のための管理業務の統一マニュアルの作成
○アセットマネジメント会社と統括プロパティマネジメント会社等の間の適切な業務分担のためのモデル契約約款の作成
○統括プロパティマネジメント会社の能力向上のための評価基準の作成
(4)投資家サポートサービスの体制整備
[講ずべき施策]
○投資家サポートサービスの的確な業務遂行のため、投資助言業、投資運用業についての金融商品取引法上の登録審査基準等において不動産の専門的知識を有する者が業務遂行に携わる体制を確保
(5)年金基金等による長期安定的な不動産投資の促進
[講ずべき施策]
○投資家の長期的な不動産投資の方針に基づき、不動産の取引や管理を行う「不動産投資顧問業」制度の充実・法制化の検討
○不動産投資インデックス整備促進のための情報収集・管理方策の検討
(6)信託法制度等を活用した新たな不動産投資への対応
[講ずべき施策]
○投資家保護のために提供すべき情報内容の目安となる「ハイブリッド型商品情報提供ガイドライン」の作成
(7)地域における自立的な不動産投資市場の展開
[講ずべき施策]
○地元の投資家が地域の不動産に投資しやすい仕組みとするための不動産特定共同事業法の見直し
○機動的な資産の入替が可能となるよう資産の流動化に関する法律の見直し
○地方不動産市場の自立的な発展を後押しするための人的・経済的支援策の検討
3. 残された課題
以下の点については引き続き審議を継続し、検討結果をとりまとめる。
(1)「一任サービス」型の不動産投資顧問業の制度設計
(2)新たな信託制度を活用した不動産投資スキームの制度設計
(3)プロパティマネジメント業者の能力評価の枠組みのあり方
(4)データベースシステムの整備等投資家支援サービスのあり方
■詳細については、国土交通省のホームページでご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/01/010807_2_.html
<問い合わせ先>
総合政策局
不動産業課 不動産投資市場整備室
TEL:03-5253-8111(代表)
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