『特殊な不動産の鑑定評価実例集』
本書において、著者は、「特殊不動産とは、『不動産鑑定評価基準に種類や手法などの記述がまったくない案件』『基準が示されているものの実務上は相当な工夫や応用を必要とする案件』」としている。
本書は、次のような、多岐にわたる案件の鑑定評価の実例を紹介したものである。
○土地…私道/仮換地/接道要件不適合地/無接道地/底地の交換/宅地見込地埋立事業地/複雑に分割・併合する土地/建付増価地 ○建物・敷地…特殊な自用の建物およびその敷地/同一敷地内に併存する自用の建物と貸家/都市計画道路の指定 ○建物その他…借家権/内部造作・設備/賃料の変動率/建物/日照権/建物の工事変更に伴う価値の増減
著者は、これら対象不動産の現状を見極め、評価の手法を工夫・開発し、鑑定評価価額の決定に至るまでの過程を詳述。説明が具体的で、統計解析を用いたケースもあり、非常に明快である。
本書は、“依頼者や関係者に納得してもらえる鑑定評価”を作成する上で、大いに参考になるはず。調査・鑑定評価の業務に携わる人の必携の書としてお奨めする。さまざまな実例は、不動産業に係る人全般にも有益であり、ぜひ一読をお奨めしたい。
著者:吉野 伸(不動産鑑定士)/吉野荘平
発行所:(株)プログレス
定価:3,800円(税別)
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