FRK会報
会報No.78(2006年MARCH)

住生活基本法案(仮称)の概要

国土交通省は、これまでの住宅建設計画法に代わり、新しい住宅政策の基本法令となる、住生活基本法案(仮称)を取りまとめて、2月8日に本通常国会に提出しました。その概要および、同法案に係る理事長コメントを掲載します。
国民の豊かな住生活の実現を図るため、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策について、その基本理念、国等の責務、住生活基本計画その他の基本となる事項について定める。

住宅建設五箇年計画(S41年度より8次にわたり策定:8次計画はH17年度で終了)
◇5年毎の公営・公庫・公団住宅の建設戸数目標を位置づけ

量から質へ。社会経済情勢の著しい変化。住宅ストックの量の充足。本格的な少子高齢化と人口・世帯減少など。

新たな住宅政策への転換

住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策
◇ 安心・安全で良質な住宅ストック・居住環境の形成
◇ 住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための住宅市場の環境整備
◇ 住宅困窮者に対する住宅セーフティネットの構築


[基本理念]
「現在及び将来の国民の住生活の基盤である良質な住宅の供給」など基本理念を定める。

[責務]
国、地方公共団体、住宅関連事業者、居住者など関係者それぞれの責務を定める。

[基本的施策]
国、地方公共団体は、住生活の安定の確保及び向上の促進のために必要な施策を講ずる。

[住生活基本計画の策定]
◇ 住生活の安定の確保及び向上の促進に関するアウトカム目標の設定
◇ 成果指標を位置づけ(耐震化率、バリアフリー化率、省エネ化率、住宅性能表示実施率など。) 

全国計画
○施策の基本的方針
○全国的見地からの目標・施策
○政策評価の実施

全国計画に
即して策定
都道府県計画
○都道府県内における施策の基本的方針
○地域特性に応じた目標・施策
○公営住宅の供給目標

■住生活基本法案の詳細は、国土交通省のホームページでご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070206_3_.html
 <問い合わせ先> 住宅局 住宅政策課 TEL:03-5253-8111(代表)

住生活基本法案に係る当協会理事長コメント
社団法人 不動産流通経営協会
理事長 三浦正敏

住生活の安定の確保および向上の促進、つまりは「豊かな住生活」を目指しストックの有効活用等を図ろうとする新法案の名称に、「生活」が盛り込まれたことは適切であり、評価する。時代の流れからみて、住宅政策には、ハードからソフトへ、量から質への転換、そしてストックの充実が求められている。この基本法をベースに、豊かな住環境を備えた高いレベルの住宅の取得、流通等を促進する政策の展開を期待したい。

なお、基本法が目指す健全な住宅流通市場の形成には、住宅の品質、性能等に関する正確かつ適切な情報の提供ができるしっかりした制度システムが重要であり、さらにその市場を拡大していくためには、金融と税制のバックアップが不可欠である。今後は、既存ストックを動かすための金融・税制についても、さらに充実が図られていく必要があると考える。

少子高齢社会の進展、団塊世代の大量退職などに伴い、今後、生活パターンが変化し、住まいの形態も変わってくるという観点から、既存住宅の有効活用策を考えると、安心で使いやすいきめ細かい賃貸システムの普及、あるいは複数住戸を活用するマルチハビテーション的生活の推進など、多様な住まい方ができる仕組み作り、ライフスタイルの変化を支える政策等も、今後、重要になってくるだろう。


[会報目次][事業活動の基本方針][住生活基本法案][アスベスト問題]
[建築物の耐震改修の促進に関する法律][投資家が安心して参加できる不動産市場の在り方]
[レインズシステム検討委員会][実力アップ講座実施報告][会員の皆様へのお願い]
[会員の章頒布][FRKNOW][INFORMATION]