FRK会報
会報No.77(2006年JANUARY)

平成18年度 国土交通省
税制改正主要項目結果概要(抜粋)

与党は、昨年12月15日に「平成18年度税制改正大綱」をまとめました。「平成18年度税制改正大綱」の国土交通省関連主要項目は次の通りです。なお、「大綱」に関する理事長コメントを発表しておりますので、併せて掲載いたします。

平成18年度 税制改正概要

■三位一体改革の税源移譲に伴う住宅ローン減税効果の確保に係る個人住民税の特例措置の創設

三位一体改革の税源移譲に伴い、所得税で措置している住宅ローン減税の控除額が減少する者(平成11年〜18年の入居者)を対象として、平成19年以降の各年の影響額について、翌年度分の個人住民税を減額する特例措置を創設する。

また、平成19年以降に新たに住宅ローン減税の適用を受けようとする者の取扱いについては、与党税制改正大綱において検討事項とされた。

平成18年度与党税制改正大綱(抜粋)
『税源移譲に伴う住宅ローン減税の見直し問題をはじめとする、住宅税制のあり方については、今後、引き続き検討を行う。』

■土地・建物に係る流通税の特例措置の延長(登録免許税・不動産取得税)

資産デフレからの脱却を確実なものとするためには、取得コストの軽減による不動産流動化の促進が不可欠であることから、土地・建物に係る流通税を軽減する特例措置を以下のように講ずる。

<登録免許税> 図1
○土地に関する売買による所有権の移転登記及び所有権の信託登記の特例措置を2年間(H20.3.31まで)延長する。

図1. 登録免許税

<不動産取得税> 図2
○土地:課税標準(1/2)及び税率(3%)の特例を3年間(H21.3.31まで)延長する。
○建物(住宅):税率の特例(3%)を3年間(H21.3.31まで)延長する。
○建物(非住宅):H20.3.31まで税率を3.5%とする。

図2. 不動産取得税

■住宅取得等資金に係る贈与税の特例措置の延長

高齢化の進展等を踏まえ、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させるとともに、住宅投資の促進を図るため、以下の住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例措置の適用期限を2年間延長する。

住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例措置
  1. 通常の相続時精算課税制度の非課税枠2,500万円に1,000万円を上乗せし、3,500万円まで贈与税を非課税
  2. 贈与者(親)の年齢が65歳未満である場合について適用可能

■新築住宅に係る固定資産税の減額措置の延長

住宅取得者の初期負担の軽減を通じて、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年間延長する。

○固定資産税:120m2相当部分につき3年間(中高層耐火建築物である住宅については5年間)税額を1/2に減額

■土地に係る固定資産税等の負担軽減(固定資産税、都市計画税)

我が国の重要課題である都市再生、地域再生の実現の観点から、特に税負担感の高い商業地等における負担軽減を図ることによって、土地の有効利用を促進するため、条例減額制度を3年間(H21.3.31まで)延長する。

【条例減額制度】
地方公共団体の判断(条例)により、負担水準の上限を60〜70%の範囲で引き下げることを可能とする制度。全国で6自治体が導入。

■住宅に係る耐震改修促進税制の創設

住宅の耐震化率を今後10年間で90%まで引き上げることを目標として、耐震性が確保された良質な住宅ストックの形成を促進するため、以下の特例措置を創設する。

○所得税
個人が、平成20年12月31日までに、一定の区域内において、旧耐震基準(昭和56年以前の耐震基準)により建設された住宅の耐震改修工事を行った場合、当該耐震改修工事に要した費用の10%相当額(20万円を上限)を所得税額から控除する。

○固定資産税
個人が、旧耐震基準により建設された住宅の耐震改修工事(工事費用:30万円以上のもの)を行った場合、当該住宅の120m2相当部分につき固定資産税額を以下のとおり減額する。

  1. 平成18〜21年に工事を行った場合:3年間1/2に減額
  2. 平成22〜24年に工事を行った場合:2年間1/2に減額
  3. 平成25〜27年に工事を行った場合:1年間1/2に減額

■事業用建築物に係る耐震改修促進税制の創設

建築物の耐震化率を今後10年間で90%まで引き上げることを目標として、耐震性が確保された良質な建築物ストックの形成を促進するため、以下の特例措置を創設する。

○所得税・法人税
事業者が、平成20年3月31日までに、特定建築物(事務所、百貨店、ホテル、賃貸住宅等の多数の者が利用する一定規模以上の建築物)について、耐震改修促進法の認定計画に基づく耐震改修工事を行った場合で、当該特定建築物につき耐震改修に係る所管行政庁の指示を受けていないものを対象として、10%の特別償却ができる措置を講ずる。

■不動産証券化税制について

○ Jリート及びSPCに係る登録免許税の特例措置の延長
・税率を1000分の6から1000分の8に引き上げた上で、その適用期限の2年間延長(適用期限:平成20年3月31日)。

■中心市街地活性化対策の推進

中心市街地において、都市機能の集積や優良な住宅の供給を促進するために、以下の税制上の特例措置を講ずる。

◎街なか居住の推進

中心市街地において優良な賃貸住宅を建設 する場合の特例措置の創設

国の認定を受けた中心市街地活性化基本計画の区域内において、中心市街地活性化法に基づく市町村長の認定を受けた優良な賃貸住宅(併用住宅を含む)の建設事業を実施する者に対して特例措置を講じる。

○所得税・法人税:割増償却 5年間3.6割増(耐用年数35年以上は5.0割増)

中心市街地において優良な住宅の用に土地を譲渡する場合の特例措置の創設

国の認定を受けた中心市街地活性化基本計画の区域内において、中心市街地活性化法に基づく市町村長の認定を受けた優良な住宅(併用住宅を含む)の建設事業を実施するために土地等を譲渡する者に対して特例措置を講じる。

○所得税・法人税:100%の課税繰延

平成18年度税制改正大綱に関する当協会理事長コメント
社団法人 不動産流通経営協会
理事長 三浦正敏
今般発表の税制改正大綱は、財政再建、三位一体改革という難しい環境の中で、デフレ克服、不動産流通の促進を図る観点から、税制面でも一定の配慮がなされたものと理解している。

具体的には、当協会の重点要望事項でもあった「流通諸税の特例措置延長」に関し、土地の売買等による所有権移転登記の特例、および住宅関係を中心にした不動産取得税の特例措置の延長が図られたことは、住宅流通市場に与える影響に配慮されたものとして評価したい。しかしながら、贈与税等の特例に関しては、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の延長が図られる一方で、現場等での制度浸透度、利用度の高かった5分5乗方式の特例が廃止されたことは残念であり、市場への影響等を注視していきたい。

その他、耐震改修に関する税制度の新設も、国家的な課題である耐震性向上による良好なストックの形成に寄与するものであり、流通市場にも好影響を与えるものと期待される。なお、この耐震改修税制および住宅ローン税額控除に関する今般改正でも明らかとなったが、三位一体改革による税源移譲の中で、国税と地方税の関係がさらに重要になってきており、減税効果が低減することのないような対応が不可欠であると考える。

最後に、改めて、今般の税制改正にご尽力いただいた、関係の国会議員の諸先生方ならびに国土交通省など関係省庁の皆様に厚く感謝申し上げたい。


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