■調査概要
1. 調査の目的
本調査は、居住用不動産取得者の取得行動、種々のサービス等の利用実態・評価を時系列把握することで、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、1991年から隔年で、2001年からは毎年実施している。
2. 調査対象
首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で平成16年4月1日から平成17年3月31日の間に、購入した住宅の引渡しを受けた世帯を対象としている。これらの調査対象者の抽出にあたっては、会員会社の協力を得て、住宅タイプ(新築戸建て、新築マンション、中古戸建て、中古マンション)のバランスに配慮し、対象を抽出した。
3. 調査方法
郵送配布・郵送回収
4. 調査期間
発送時期:平成17年6月9日
回収締切:平成17年6月22日
5. 配布・回収状況
(1) 発送総数:2654票
(2) 有効回答数:961票
(3) 回収率:36.2%
■5分5乗方式と相続時精算課税制度の両制度を有効に使い分け
「親族等からの贈与に関する特例」(5分5乗方式)を利用した理由において、「贈与金額が550万円以内であったから」がトップを占める一方、「相続時精算課税制度」を利用した理由においては、「非課税枠が大きく一度にまとまった金額が貰えるから」がトップを占め、贈与額により税の優遇措置を使い分ける傾向がみられる。<図1・図2参照>
図1 「親族等からの贈与に関する特例」を利用した理由
|
|
図2 「相続時精算課税制度」を利用した理由
|
(注)「その他」を含めて5項目の選択肢から2つまで選択 |
|
(注)「その他」を含めて5項目の選択肢から2つまで選択 |
■売却損発生率は依然として増加し86%に、築10年超〜15年の平均売却損益額はマイナス2,800万円超
自己所有住宅から住み替えた世帯の71.2%が従前住宅を売却しており、このうち売却損が発生した世帯は86.6%に達する。売却損発生率は年々増加を続けている。なお、売却損額は、1989〜1993年の5年間に竣工した築10年超から15年の住宅において特に大きく、平均売却損益額は−2824.0万円となっている。 <図3参照>
図3 売却住宅の築年数別、売却損の発生状況
■購入資金の調達において借入金の割合が増加
購入資金総額に占める「自己資金」と「借入等」の関係をみると、前年度に比べて「自己資金」の割合が減少している。また、「現金、預貯金等」の利用率は前年度より減少し、新築住宅購入者で77.6%、中古住宅購入者で61.5%となった。
中古住宅購入者では、「現金、預貯金等」の平均額(1230.9万円)が、前年度に比べ約160万円減少している。また、「前住居の売却金」については、平均額が、新築住宅購入者で約146万円、中古住宅購入者で約275万円、前年度に比べ減少している。<図4参照>
図4 購入資金の内訳※<回答者全体> ※資金調達総額に対する各資金の割合
■中古住宅購入者の購入対象は希望エリアにある手頃な価格の良質な物件
中古住宅の購入理由では、「希望エリアの物件」「手頃な価格」が上位2位を占め、住環境と物件の価格が購入の決め手となっていることが窺える。また、中古住宅購入者の半数近くが「良質な物件だったから」を購入理由としてあげている。<図5参照>
■中古住宅の購入で構造上の性能等に強い関心、別途費用を支払ってでも受けたいサービスとして「建物の性能評価」に高ニーズ
中古住宅の購入に求める改善点では、「構造上の性能の保証等」や「修繕・補修等の履歴情報の完備」が上位を占め、また、別途費用を支払ってでも受けたいサービスでは、「建物の性能評価」が中古一戸建て・マンション購入者でトップを占めており、新築に比べて分かりにくいとされてきた中古住宅の構造安全性や耐久性を明確にし、性能を保証する体制整備が中古住宅市場活性化への重要課題であると言える。<図6参照>
図5 中古住宅を購入した理由(中古住宅購入者)
※複数回答
|
|
図6 中古住宅購入に求める改善点
※複数回答
|
|